思えば今までの人生で色々なところに住んできた。
国内だけでも広島、東京、北海道、名古屋、横浜。
海外はバンコク、ロンドン。
東京・横浜に至ってはそれぞれ6か所、2か所に住んでいる。
基本的にはどこに行っても最初は不満だらけだった。
振り返ってみるといいところもたくさんあった気がする。
違う場所に住んだことで改めて過去の町の良さに気づかされたこともあった。
特に印象に残っているのは北海道だ。
大学生の時に初めて東京を離れ、一人暮らしを始めた土地である。
当時はテレビで見る雄大な自然と比較的新しく整然とした都会のバランスが取れたこの地に憧れた。
受験するために到着した札幌は駅前にデパート・銀行など一通りのものがあるものの、
東京と比較するとやはり寂しい印象は拭えない。
大学構内も東京と比較すると素朴な、率直に言うと全くイケていない学生ばかりで物足りなさが目立った。
一方で遅い春が到来し、木々に緑が芽生える頃にはその姿を徐々に変えていく。
広大な自然が広がる風景は心を和ませ、険しい山々は自然の雄大さを感じることができる。
とりわけ火山は周囲の山々とも相まって地球の活動をまざまざと見せつけられた気がした。
生活する範囲はコンクリートで固められ、登山ですら人の手で作られた登山道を行くのではなく、
そこにはただただ自然そのものがあり、道はない。
歩を進めるその位置は自分自身で決めるのだ。
親や教師に対して斜に構えていた高校生時代。
ズボンの下げ方、髪型、カバンの持ち方、眉毛の形などの自分の価値基準は大分変えられただろう。
違う角度で物事を見て、自分自身の考え方や判断基準が変わっていく。
何が良いとかではなく、経験を得た、ということなんだと思う。
結果、何も変わらなくても、それはそのままでいることの意味を再確認できたということ。